Stick Control の表紙

『Stick Control: For the Snare Drummer』という教則本を紹介します。 本のタイトルを日本語に翻訳すると『スネアドラマーのためのスティック コントロール』となります。

英語の本ですが中身はスティックコントロール技術を磨くための楽譜集で、オーケストラ、吹奏楽、ロック、ジャズなどすべてのドラマーに不可欠な古典(古い時代に著された、立派な内容の書物)とされています。初版は1935年のようです。

本書の内容

『Stick Control』は 両手を使ったコンビネーションの短いリズムパターンの楽譜の集まり となっています。

譜面には動画も説明の文章もありません。楽譜を見ながらリズムパターンをひたすら繰り返すための教則本です。

でもそのリズムパターンがすごくて、練習内容の特長は、著者の言葉を借りれば「コントロール、スピード、柔軟性、タッチ、リズム、軽さ、繊細さ、パワー、持久力、正確さ、筋肉の協調」を改善するたの理想的な内容であり、特にスティック コントロールが苦手な弱い方の手を発達させる効果が期待できるとされます。

肝心のリズムパターンは

  • シングル ビートの組み合わせ (Single Beat Combinations)
  • トリプレット (Triplets)
  • ショートロールの組み合わせ (Short Roll Combinations)
  • フラムビート (Flam Beats)
  • フラム トリプレットと付点音符
  • ショートロールの展開 (Short Roll Progressions)

といった内容で、拍子も 4/4, 2/4, 6/8, 3/8 のパターンがあり充実しています。

譜面にはR(右手)とL(左手)が書かれているので打つ手を考えることなく進めることができます。

本書の内容の部分的なサンプルは Alfred Music という出版社の公式サイトでPDFファイルをダウンロードできます ので確認してください。

全48ページで構成されていますが序文と練習方法の説明が2ページ続いたあとは、延々とリズムパターンが書かれています。

Stick Control の内容の一部

本は中綴じで、二つ折りにした折り目をホッチキスで留められています。

Stick Control の中綴じ

練習の進め方

当たり前のことですがこの本を見ながらドラムキットや練習パッドを使って練習します。メトロノームも必須アイテムです。

英語の本なので英語を読めない方のために本書の HOW TO PRACTISE “STICK CONTROL” という章に書かれた練習方法を簡単に説明しておくと

  • それぞれのリズムを20小節(20回)止めずに練習する
  • 20小節終われば次のリズムに進む

このパターンをメトロノームに合わせてやり続けます。ポイントはスティックを振る腕の力を抜くことです。スティックコントロール全般に言えるのですが筋肉が緊張している状態では繊細なスティックコントロールはできません。

楽譜に指定された奏法については「オープン ロール/open roll」と書かれた箇所は、それぞれのスティックで2回叩くことを指します。スティックを1回振り下ろして打面を2回打つ、ルーディメンツでは ダブル ストローク ロール です。

「クローズド ロール/closed roll」と書かれた箇所は、スティックを振り下ろしたリバウンドを利用して少しスティックを押し付ける感じでチップの細かい跳ね返りを連続させる打法です。ルーディメンツでは マルチプル バウンス ロール です。

いつどのページを練習するかの決まりはありません。

どなたかわかりませんが 序章を日本語訳にしてPDFで公開 されていますので参考にしてください。

感想

実際のこの教則本を使って練習した感想は、序盤はわかりやすいリズムパターンですが、中盤ではロールやフラムがでてきて難易度が上がり、 終盤になると5連符や7連符が出てきてさらに難解になります。 遅いテンポで練習すればパターン自体は難しいものではないと思いますが私のようにルーディメンツを満足にできないドラマーは後半の内容はきついです。

本の最初から1日1ページと進めていくと最後までやらない可能性があるので1日おきに前のページからと後ろのページから進めてます。

とにかく自分がこの本を使ってどれだけ練習するかで他のドラマーと差がつきます。

良かった点

シングルストローク、ダブルストロークはもちろんトリプルストロークもフラムもロールもあり、 ルーディメンツが網羅されている様子で教則本としての内容は価格以上だと思います。

改善して欲しい点

練習のスケジュールは本の中で提案されていないので、自分で練習の量や計画を立てる必要があるのは少し苦痛ですね。

今すぐ買うべきです

2020年5月3日現在のAmazon 売れ筋ランキングによると洋書部門のなかで、音楽演習で1位、打楽器で2位、打楽器の楽譜で1位と優れた売れゆきです。

Amazon 売れ筋ランキング

英語だからと躊躇するのはもったいないです。中身は世界共通のただの楽譜とちょっとした英単語なので恐れることはありません。

輸入本なのでもしかしたら入手できなくなる恐れがあります。 少しでも気になるなら今すぐ買いましょう。

DVDや動画付きの教則本に比べても安価ですし、Amazon では紙の本に加えて Kindle の電子書籍も販売されています。

教則本として非常におすすめです。